狂気夫人

狂気夫人は29歳のちょっぴり可愛めのロリ顔主婦。

身長149センチ、体重44キロ。

ごく普通の彼女は、ごく普通の結婚をし,ごく普通の家庭を持ちました。

だがただひとつ違うのは、狂気夫人は

セックス憎んでいたのです。

 

その一

その日狂気夫人はテレビを見ていました。

NHKの教養番組でした。

番組では,縄文人の意外と豊かな生活ぶりを解説の大学教授が説明していました。その先生は縄文人の遺跡を発掘したことがありました。

環状列石というものです。

写真を見ると、真中の石と回りの石の色が違っていました。

狂気夫人は感心しました。

すると大学の先生が言いました。

「この真中の赤い石はペニスを表わし、まわりの青い石は女性器を表わしているのです。」

狂気夫人青スジを立て金切り声をあげました。

 

そんなわけないでしょ!

なに考えてんのよ、このエロ学者!」

 

その二

 狂気夫人はビデオを借りてきました。

「白い眼」という侵略SF サスペンスドラマです。

 十数年前にイギリスの小さな田舎町が謎の大爆発によって海に沈んでしまいました。ところが住民は全員奇跡的に無事だったのです。

 でもその村の人たちはなぜか人が変わったようでした。みんながどんどん出世して、政府の要職に着いたり,ソフト会社の社長になったりしたのです。

しかも彼らの周りでは人々が次々と謎の事故に遭い、死んだと思われた後、ひょっこり戻ってくるのです。

 ある新聞記者がおかしいと思いました。

沈んだ村のことを調べ、とうとう真実にたどり着きました。

 彼らは人類ではなかったのです。

ひそかに地球侵略を狙うインベーダーたちは人知れず要人たちと入れ替わり、すでに社会に浸透していたのです。

インベーダーに追われる主人公は,同じく真実を知る人妻と出会います。彼女の夫もインベーダーでした。

やがて追われる二人の絆はいつしかへと発展し、ついに人妻は主人公をベッドへと導きました。

 その瞬間、狂気夫人はテレビに向かって,叫んだのです。

なに考えてんのよ!そんなことあるわけないでしょ!」

 

 

その三

 狂気夫人はよく自分の見た他人に語ります。

その日彼女が見たはこんなでした。

 

 ゲーセンで女子校生たちが、借りたおぼえのない金を返せとわたしを追いかけてくるの。で逃げ込んだところがヤクザの事務所

 銃撃戦に巻きこまれるんだけど、そこに売春婦があらわれて,ヤクザとセックスを始めたの。

 そいで売春婦とヤクザのあそこからまきちらされた毒液が事務所中のヤクザにかかり,ヤクザたちは全滅したわ。

その四

今日は水曜日です。狂気夫人は憂鬱でした。

今日は『ビデオの日』なのです。

でも幸い夫はそのことを忘れているようでした。

狂気夫人はなにくわぬ顔で食事をし、お風呂を沸かし寝る用意をしました。さて、お風呂に入ろうかというとき夫は、急に顔を輝かせて言いました。

「おっ、今日は『ビデオの日』じゃないか!」

狂気夫人は、いっきに暗い穴の中に落とされた気分になりました。

夫は早速外出の用意をしています。夫人の都合などお構いなしのようです。暗澹たる気持ちで狂気夫人は服を着替え始めました。

二人は近くのレンタルビデオ屋『マリオ』に出かけました。

『マリオ』では水曜日はレディースデイ、つまり女の人がビデオを借りると通常より100円安くなるのです。だから狂気夫人はこの日によく新作ソフトを借りるのでした。

「ロスト・イン・スペース」は全部貸し出し中でした。ちょっとがっかりした狂気夫人は、だったら可愛い女の子が出てくる映画を借りようと思いました。

「たしか『ポネット』とかいう映画だったかしら。」

そのとき夫がにこにこしながら,やってきました。手にビデオを持って。

「これ借りてくれ!」

そのビデオのパッケージはこんなタイトルでした。

『巨乳秘書レイプ浸け』

狂気夫人は失神しそうになりました。

夫は相変わらずにこにこしています。

狂気夫人は黙ってビデオを受け取りカウンターに持って行きました。男の店員に手渡すとき自分が消えてしまえばいいと思いました。

帰り道、夫は相変わらずにこにこしていました。

狂気夫人はため息をつきました。

しかたが無いと思いました。

もし、アダルトビデオを夫から取り上げると,夫はきっと性欲のはけ口を自分に向けてくるだろう。

そして、この人はきっとビデオで見たのと同じ汚らわしい行為を私にしようとするだろうから。

『耐えるしかない・・』

狂気夫人は黙って歩きつづけました。

好色主人は相変わらずにこにこしていました。

 

その五

狂気夫人はかわいい女の子と文通していました。

その女の子はまだ小学生だった頃に、夫人の主催する人形サークルで知り合い文通するようになったのです。

女の子は瀧上夕佳ちゃんといいました。

夕佳ちゃんも今では高校生になって、あまりお人形の話をしなくなり、夫人はちょっと寂しかったりするのですが、お誕生日にはプレゼントを送ってくれたりするとてもやさしい女の子でした。

こんどその夕佳ちゃんがホリプロからデビューすることが決まりました。

「まあ、すごいわ。でもあれだけカワイイのだから当然ね。」

夕佳ちゃんの写真が「クレープ」という雑誌に載るとききました。

さっそく買おうと狂気夫人は本屋に出かけましたが、見つかりません。

コンビニにも行きましたが見つかりません。

店員に尋ねると「どんな本ですか」と聞かれました。

「可愛いアイドルの載った本です。」

店員はぶっきらぼうに「その棚に無かったら無い」と答えました。

「小さい本なのかしら」

原稿を書くために泊まり込んでいる植村君に聞いてみました。

「ああ、投稿写真が名前変えたヤツですよ。」

「本当?」好色主人が食いついてきました。

ちょっといやな予感がしました。

狂気夫人はバイト先の松屋に行く途中コンビニに寄りました。(松屋の制服で)

もしやと思って本棚を見ると

ありました!

大きくてヨレた感じの男が破廉恥な本を読んでいる横を恐る恐る手を伸ばして取りました。中は下着姿の女の子の写真ばかりでした。開いても開いても下着です。

「パッ…パンツの本だわ!」(本人のセリフのまま)

夕佳ちゃんの載っているページを探すと、夕佳ちゃんは水着でした。

狂気夫人はほっとしました。

「どうしようかしら、レジに持って行かないと買えないし…」

ビデオ屋でAVを借りるのは店員さんも察してくれているようだし、慣れている様子なので、なんとかなったのですが、コンビニで「パンツの本」を買うのはなんか違う気がします。とは言っても万引きなど出来るはずも無い狂気夫人は、小さい身をさらに縮めて店員に本を差し出しました。店員の顔は見ませんでした。

家に帰ると、さっそく夕佳ちゃんの載ったページのとなりを折り曲げました。そして夕佳ちゃんのページを開く時には、本を閉じたまま指でそこを探り当ててがばっと開くのです。これでパンツのページを見る心配はなくなりました。本当はホッチキスで閉じたかったのですが、本が傷むし、好色主人が見たいと言ってきかなかったのです。

狂気夫人は植村君の力を借りて、その本に載っていた夕佳ちゃんのチャットパーティーに参加しました。

「みんな打つのが早いわぁ」

狂気夫人はアイドルオタクに混じって、2テンポ前の話題を懸命に打つのでした。

瀧上夕佳ちゃん

その六

狂気夫人はNHK教育を見ていました。

ロイヤルオペラ&バレエ・ガラコンサート・イギリス・コベントガーデン王立歌劇場中継です。

男と女のバレリーナーがくるくる回っていました。

うっとり目で見ながら

「子供が生まれたらバレエを習わせたいわ」

と言いました。

回っていた男女は回りながら近づき、くっついて抱き合ったままキスをしました。

キスをしたまま回っていました。やがて回転に怒号がかぶさりました。

「なんでチユーするのよ!チューするマネだけしなさいよ!」

狂気夫人はもう、子供をバレリーナーにしたいと言いませんでした。

 

その七

狂気夫人は貧乏が板に付いていた。

板に付きすぎたため貧乏という自覚が抜け落ちてしまっていた。

ある日、友達が「明日は映画を見に行くの」と言った。

「えっ、でも明日は普通の日よ!」と狂気夫人は言った。

「明日は土曜日よ」

「???」

狂気夫人は貧乏なので、映画は「映画の日」(毎月一日、一般1000円)にしか行かなかった。

みんなそうだと思っていたのだ。

 

ある夜、好色主人はインターネットで原稿を送った。

念のためファックスでそのことを編集部につたえた。

翌日の昼好色主人は言った。

「もう、編集は見たかな。」

「まだ昼だから見られないわよ。」と、狂気夫人。

「???」

狂気夫人はテレホーダイに入っているため、電話代が安くなる深夜11時以降にしかネットをやらなかった。

いつの間にかそれ以外の時間はみんなインターネットは出来ないものだと考えていたのだ。

以上実話

 

狂気夫人の文通友達、瀧上夕佳ちゃんがいるユニットP-chicksのCDが発売されました。

えー、みなさん平積みに…でなくよろしくだそうです。意外と上手い…ん、失礼か?

アタマにもどる

inserted by FC2 system