映画ギャラリー5
![]() |
「ヴァージン・スーサイズ」 爆笑問題の田中が、外国の税関で「入国の目的は?」と訊かれ、「サイト・シーン(観光)」と答えるところを「スーサイト(自殺)」と元気良く答えたそうだ。スーサイズは自殺の複数形。 ある数学教師一家の五人娘の一人が自殺をする。そして残った四人の娘も数ヶ月後、そろって自殺を遂げる。25年前に起こった実話らしい。近所に住む男子生徒の視線で語られる。 一見裕福でなんの問題も無い家庭の娘たちが、全員そろって自殺という異常の原因は…途中まで語られるけど、核心部分は明らかにならない。全員死んでいるから明らかになるわけないのだ。ただその原因不明の不気味さと、少女達のリリカルな不思議感がマッチしている。感覚は「ピクニック・オン・ハンギングロック」に似ている。個人的には70年代の風俗はすべてダサイのだが、今の若者には新鮮らしい。 監督はF・コッポラの娘ソフィア。女優として「ゴッドファーザー3」でヒロインやって酷評されてたけど、監督としての腕は良い。 |
![]() |
「メリーに首ったけ」 予告編で犬に股間を噛みつかれたり、犬に目潰しくらわそうとしてガードされたりするトホホなギャグシーンを見たため、見るのが遅れたが、面白かった。ファレリー兄弟(監督)作品は愉快なので、これからはちゃんと見よう。 チンコをファスナーにはさむという、あまりと言えばあまりにマンネリなギャグも、こうも真っ向から演出すると爽快な気になる。ストーリーやセンスが古いようでいて、バランスが現代感覚。予告篇ではわからない。知らずに殺人鬼のヒッチハイカーを乗せ、警察に捕まって「これまで何人やった?」と訊かれ、てっきり乗せてやったことかと思い「25人くらいかな」とにやけながら答えて、警官が青ざめるシーンが笑える。 「キングピン」もそうだったが、この監督は障害者や被差別民をギャグるのが好きらしい。このへんにビビルあたりに、己の器の小ささを感じて反省。 |
![]() |
「13ウォーリアーズ」 「ジラシックパーク」のM・クライトン原作、「ダイ・ハード」のJ・マクティアナン監督。 アラビアの詩人が大使として辺境へ行く途中、バイキングと合流。怪物退治と村を守りに行くファンタジー版「七人の侍」。 あまり感情移入できないのにアクションシーンがむやみに多い。土地と時代のせいで、できないのだろうか。ちょっと笑いでも入れば移入できる気がするのだが。主演はA・バンデラス。脇役の役者をしらないせいもあるかも。 スタッフもキャストも、勿体無いなぁ。似た話を現代でやったD・マレルの「トーテム」(小説)のほうがだいぶ面白いと思う。クライトンなんかやめて、こっちを映画化して。 |
![]() |
「レッド・プラネット」 地球が環境汚染で住めなくなり、人類は火星開発を急いだ。無人船で藻を植えたが、なぜか下がり始めた酸素濃度の原因を調べるため、初の有人飛行が行なわれる。 格好良いロボットが人を襲い始めるあたりSF映画の定番。ロボットが狂う原因が、火星の謎と関係無いため、まとまりが弱い感があるが、ネタを拾いたい乞食漫画家にはこれはこれでありがたい。 みんなの宇宙服の酸素がそろって無くなる時、一人が苦しみ出すと他の者は数分後の自分を思い、怖くて目をそむける。助からないと諦めていた時はまとまりが良いが、3人の中でふたりだけ助かる可能性が出ると、他人を出しぬこうとする…なんてトコが良かったね。 |
![]() |
「チャーリーズ・エンジェル」 始まって15分で脳が溶けそうなお馬鹿映画だけど、思った通り。期待を裏切られたわけではないので文句はない。 いちいち女のアップをスローモーションで見せ、知恵遅れっぽいセリフのやりとりをするくせ、時々気の利いた伏線があったりする。アクションシーンの編集が上手い。ワイヤーとCGを交えて気持ちが良い。おねえちゃんたちのプロモーション・ピクチャーと思えば相当良い出来。 見物は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の気弱なお父さんことクリスピン・グローバのイカした殺し屋。一言も喋らないくせに、動作が変態っぽくて強烈な印象(髪フェチらしい)。これだけでも見る価値あった(俺には)。 |
![]() |
「ムーンライト・ドライブ」 リドリー・スコット制作の知らない(多分若い)監督だが、スコット監督映画の並みの出来のヤツよりはずっと面白い。 オープニングの5分で意表を突く展開。あれよあれよと言う間に片田舎の青年が、のっぴきならない立場に追い込まれる。やってもいない殺人の嫌疑をかけられまいと、下手な工作をして裏目に出る。ただしこの青年、素行が良いらしく本気で疑われはしない。この辺が緊張感を削ぐのだが、いやな主人公にして感情移入を削ぐよりは。 一方、青年が知り合ったカウボーイ風の奇妙な男は、実は連続殺人犯で… 「ツインピークス」からシュールさを抜いた雰囲気の拾い物の映画。狂気の殺人鬼が友情を求め、また主人公が少し感じているあたりが面白い。 |
![]() |
「マーロウ・最後の依頼」 「恋におちたシェークスピア」「未来世紀ブラジル」のトム・ストッパード脚本でチャンドラーが生んだ探偵フィリップ・マーロウが活躍する。 マーロウ(ジェームス・カーン)が年くってて、大金持ちの娘と結婚してるのにびっくり。電話で仕事の依頼の最中、二発の銃声、切れる。警察に電話して「波止場で男が撃たれた」「なんでわかった?」「超能力」。銃を見つけて「二発発射されたはず」「なんで知ってる?」「数えた」…ちゃんと教えないから、案の定、容疑者にされる。 相変わらず緻密な脚本で二転三転。長年、大金持ちに仕えた始末屋に「家庭が無いのか?」なんて、ちょっとしたセリフが胸を撃つ。小奇麗な町に引っ越したマーロウが、タバコをポイ捨てできなくて困ったり、誰からも火が借りれなかったりと笑えるシーンも。「チャイナタウン」に似た雰囲気の、気の利いた映画。 |
![]() |
「フェリシア」 「スイート・ヒアアフター」のアトム・エゴヤン監督、B・ホスキンス主演。 少女が恋人を追いかけてアイルランドからイギリスにやってくる。あてもなく困っていると、工場の食堂の支配人と知り合って…。 少女と男の過去が交互に描かれ、孤独な男の正体がわかってくると、どんどん怖くなってくる。古くさい料理番組のビデオを見ながら、そっくりに作る男。ミキサーの調子が悪くなると、ポイと捨てて二階の部屋へ。そこには壁一面、同じミキサーがズラーッと。男が変人だと気づいて「ぎょっ」となる、これが映画の、目で見る面白さ。(後でミキサーの理由はわかるが) 「スイート…」はよくわからんかったが、うーん、すごい。面白い。 |
![]() |
「ベリー・バッド・ウェディング」 上っ面だけドタバタした映画でガッカリ。 キャラクターは作ってあるものの、面白くない。陰惨さばかり目に付いて笑えない。ブラックコメディーじゃないのかな。新しいのか?僕にはわかりません。 |
![]() |
「プロポーズ」 30歳の誕生日までに結婚しないと、一億ドルの遺産相続権を失ってしまう。あわてて、あの手この手で女にアタック。 バスター・キートンの「セブン・チャンス」のリメイク。「バットマン」のロビンことクリス・オドネル主演だけにドタバタを期待したら、しっとりしたウェルメイド・コメディー狙ってやんの。でも脚本は大したことないし、オドネルの演技はつまんない。これだったらキートンの理解者ウディ・アレンにやって欲しい。 ピーター・ユスチノフにハル・ホルブルックにジェームズ・クロムウェルと、なぜか老名優がそろって、眼福。 |
![]() |
「パラドックス」 コッポラ制作のSF映画。「赤ひげ」の異世界板。 万年昼と万年夜の世界に分かれている辺境惑星ルティアス。中世から開拓時代のアメリカの風俗。ここに赴任した若い医者は、早いとこ任期を終えてニューヨークで金持ち相手の病院を開くぞ、と思っていたが、だんだんルティアスの不思議な魅力に引かれていく。 声で生き物を殺す医者。思った姿に変身する奇病の少年。老いた少女。赤い海。夜の王女。不死の女囚。彼女に惚れてる魚みたいな看守。ストーリーのための設定ではなく、あるだけの設定。それを観光気分で楽しめないと、ツライかも。僕はたいへん楽しかった。 |
![]() |
「NYPD15分署」 チョウ・ユンファとM・ウォルバーグがチャイナタウンを守る警官。「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」+「プリンス・オブ・ザ・シティ」みたいなー。 ユンファがかっこいいー。排他的なチャイナタウンで頑張る白人警官と、ガンガンつっ走る中国系ポリスの対比が良い。 二つの組織の対立にはウラが…なんてどんでん返しを入れると、シリアスな話が軽くなるから入れなくていいのに。普通にイケてます。 |
![]() |
「ハピネス」 「マグノリア」と比べられた群像ドラマだが、こちらは人物に関係があっても(姉妹の友達とか)あまり絡み合わない。 いろんな人の中で、エロ電話をかけまくる欲求不満のデブと、少年愛好の精神科医のエピソードが面白い。小学生の息子の友達に睡眠薬を飲ませ眠っている間にレイプ。…を息子に告白。 「気持ち良かった?」(泣きながら) 「…すごく」 ドラマが収束しないのは自然なような、物足らないような。 |
![]() |
「π」 自然界から株価まで、全ての現象には数学的法則があると信じる数学者が、なぞの鍵となる数列を発見、みたいなー。 「この世には知ってはならない秘密がある」というラブクラフトみたいなテーマなのだが、クライマックスで怪物が出るわけではないので、主人公が慄くばかりの後半は尻すぼみ。前半の方は面白い。 駅に脳みそが落ちていて、突つくと音や光を感じる(自分の脳なのか)シーンはよかった。そのうちマネしよう。 |
![]() |
「バトルロワイヤル」 アイデアが良いので、そんなに外さなければ面白いだろうと思ったが、うまく二時間以内にまとまっていて、役者の子たちも熱演もよいなぁ。楽しい。 ビートたけしのへんな教師も味がある。灯台の中で、仲良しの女の子達が、あっという間に殺し合いを始めるのがスゴイ。異常なシチュエーションのワクで、殺しの数だけ短編小説を見る気分。深作ファンのタランティーノが絶賛したのも、まんざらリップサービスでもあるまい。 演出が「いつかギラギラした日」みたいにバタ臭いのと、画面の色がしょぼいのは深作監督の好みなのかなぁ。ビデオで登場するみやむーがヘン。 |
![]() |
「スペースカウボーイ」 「許されざる者」が「厳しい映画」なら、こちらは「優しい映画」。 宇宙へ行きたくても行けなかった空軍の若者たちが、45年後ロシアの衛星の修理に宇宙へ行く。若々しい夢を失わない老人への賛歌。自分たちの代わりに猿に宇宙へ行かせた上司を45年経っても恨んでいるのが可笑しい。 宇宙に飛び出すまでの訓練が映画の大半だが(老眼鏡かくしたり、入れ歯はずれたり、腰を押さえながらフーフー言って走ったり情けなくて良いんだ)、宇宙につくと今度は衛星と戦うサスペンス映画になる。 童心を捨てきれない、じーさんパワーと、シナトラの「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」のBGMに、かってロバート・ハインラインの小説「月を買った男」に感動した元SF少年(現・中年)は涙。 |
![]() |
「13デイズ」 今になって思い返すだに寒気のする米ソ核戦争寸前「キューバ危機」の13日間をドキュメンタリータッチで描いた映画。ケビン・コスナーはケネス・オドネル大統領補佐官役。この人の手記か証言を元に構成したのだろうか。ケネディー兄弟が生前に明かしたとも思えないし。 ちょっと驚いたのはベトナム戦争を始めた男と言われるロバート・マクナマラ議員が平和的解決に大変努力していること。ソ連船を止めようと曳航弾を撃った将軍を怒鳴りつける。 「これは検疫ではない、ソ連との会話なんだ!」 最近でも湾岸戦争に最後まで反対していたので、ちょっと見方が変わった。(ベトナムならすぐ勝てると思ったのかしら。みんなそう思ってたよな。) ホットラインが無い時代の、相手の内幕を探ったり、裏工作の真偽を呼んだりと、大変怖く、面白い娯楽映画でした。 |
![]() |
「ギャラクシークエスト」 「スタートレック」そっくりの番組の出演者が、番組をドキュメンタリーだと誤解した宇宙人に宇宙戦争に駆り出される。 何が良いって、ファン大会から始まって、「あいたたー」なトレッキーたち続出なのだ。製作者より船の設定に詳しいマニア。現実世界では何の役にも立たない馬鹿オタクたちが、いざ戦争になると役に立ってしまうという、オタクの空想する夢をかなえたドラマ。出演者の「ただのTV番組だ!」の冷たい言葉に目が覚めたのも一時で、すぐに元のオタクに戻ってしまうマニアのイキっぷりが可笑しい。 シガニー・ウイーバーが妙に若々しくて可愛いのは何故だ。「ダイハード」のテロリスト、アラン・リックマンも笑える。 現実が辛くなった時は、こういう一級の逃避映画で全てを忘れたい。ゲーム化されそうだな。 |
![]() |
「ホワット ライズ ビニース」 「ビニース」は「下方」の意味。「下に何か横たわっている」わけで、当然死体という怪談話。 ウイリアム・アイリッシュの小説を、まだ生きているとしてヒッチコックが映画化したら…みたいなー。(「裏窓」はこの組合わせ) いたるところにヒッチやアイリッシュの匂いがする。 50年代恐怖映画を現代に蘇えらせる…という野心は成功したが、「面白いか?」と言われると、うーん、冗長。ゆっくり、ちょっとづつ怖くなるレトロホラーは好きだが、ゼメキス映画としては退屈。ヒッチ&アイリッシュ・ファンには嬉しい映画。 アイリッシュの小説は今読んでも大変面白いのだがなぁ。 |
![]() |
「イギリスから来た男」 刑務所から出てきたら、娘が事故死したと知った父親。その真相を突き止めるためアメリカへと渡る。 テレンス・スタンプ主役のハードボイルドもの。話がシンプルで探偵要素は少ないが、テンポよく進んで面白い。とくに前半、麻薬組織に乗り込むあたりは、あまりに主人公が破滅的な捜査をするので、「こりゃ、最後は死ぬな」と確信したんだったんだが。ハリウッドの「稼ぐアクション映画」ではないので、皆リアルに弱い。 いろんなところで、細かく回想シーンを挿入したりと(時には未来のモノまで)ソダーバーグ監督は芸が細かいというか、素人臭さを失わないというか。 |